「発見!千葉編集部」

子供たちに新たな視点を。「ななめな学校」

  • 遊ぶ・体験する

大人になり社会に出ると見えてくる世界の広さ。実際の世の中は学校や家庭で教わることだけじゃない、もっと多彩で、立体的で、ユニークな物事に溢れています。多角的な視野を子供のうちから持ってもらいたい、そんな想いで千葉市メディア芸術振興事業としてスタートしたのが「ななめな学校」。アーティスト、デザイナー、ミュージシャン、研究者などのクリエイターを先生として招き、それぞれの専門分野を“ななめな”角度で体験してもらう授業を行っています。これまでの授業の一部と、プロジェクトのねらいを掘り下げてご紹介。自身も千葉市にお住まいだという実行委員長、土肥さんにお話をうかがいました。

様々な角度から眺めてみること。

「ななめな学校」で重きを置いている「メディア芸術」とは、絵画などの古典的なものだけではなく現在進行形の新しい表現のこと。土肥さんをはじめ、ななめな学校の実行委員会のメンバーはこれまで市と共にメディア芸術を振興するための単発イベントを実施してきました。「一過性のイベントではなく、もっと直接的に市民の方や子供たちにアプローチできないかと考えました。」こうして子供たちの新しい学びの場として「ななめな学校」が誕生。こんな視点もある、こんな大人もいる、ということを伝えたかったと言います。「親や学校から教わることももちろん教育としては大事。でもちょっと別の角度の学びを提供したかったんです」。

バラエティ豊かな先生たち

先生には千葉にゆかりがある方々も多いそうです。「子供たちに学んでもらう一方で、アーティスト自身のコミュニティや繋がりが千葉を拠点に広がる活動になればいいとも思っています」と土肥さん。実際にオファーから授業として形になるまでに、2ヶ月程度要するそう。先生にはコンセプトを伝えたうえで、アイディアや希望を出してもらい、子供たちに何を感じてもらうかを踏まえて授業を構成。構想、準備、進行といった一連の作業はとても労力の要ること。しかしクリエイターの方々にとって子供に教えるという行為は、自分のコアな部分を見せたり、噛み砕くことと等しく、自身の能力の新しい貢献方法に楽しみながら取り組んでくださっているように感じるそうです。

授業サンプル1:透明な“何か”をつくろう

美術家の地村洋平氏をむかえた「透明なもの」がテーマの授業。タイトル通りの工作的な授業かと思いきや、そこにはもっと深い観念的、哲学的な考え方が盛り込まれていました。まずは先生のガラス作品をはじめ、瓶、卵パックなどあらゆる「透明なもの」を観察することからスタート。次に様々な色紙と小さなライトが配られ、先の「透明なもの」とコラボするとどんな見え方をするのか、さらに観察を続けます。その後は自分たちで「透明なもの」同士をくっつけて、自分たちで新たな「透明なもの」を作ったり、それを展示したりもしました。対象物だけでなく、周囲からの、または周囲への影響も考えながら行う制作。そこには「自分でも気づかない間に、自分は何かに影響している」というメッセージが込められているのでした。
※参考:https://naname.school/report/v4/tomei-nanika/

授業サンプル2:口だけで奏でる音楽 ヒューマンビートボックス

この回では日本を代表するビートボクサーでアーティストのKAIRI氏を先生に招きました。口や鼻、喉を使って音やリズムを奏でるヒューマンビートボックスに初めて触れる子がほとんどだったはず。国内の公式大会で三度もの優勝経験がある超実力派の先生のパフォーマンスに子供たちも圧倒。ヒューマンビートボックスが生み出された歴史的背景などを学んだ後、基本のテクニックの練習をします。その後3人で役割を作ってセッション、そして発表。授業の最後には、ループステーションという機材を使って、全員の音を録音し、エフェクトをかけたり、繰り返したりして、オリジナル音源を完成させました。身体ひとつで表現をする事、誰かとコミュニケーションを取ること、好きなことを続ける事の大切さを学ぶことができた授業でした。
参考:https://naname.school/report/v4/human-beatbox/

授業サンプル3:あたらしい植物図鑑をつくってみよう

山口情報芸術センター、YCAMの主任研究員で、工学(つくることに関わる実践的リサーチ)の研究者である津田和俊氏が先生。この授業で子供たちがチャレンジしたのはオリジナルの「植物図鑑づくり」。先生が山口市内で取り組む、一般参加型プロジェクト「森のDNA図鑑(https://special.ycam.jp/dna-of-forests/#/)」を参考にした授業です。実際に近くの公園で見つけた植物を観察し、どんな特徴があるか、どんなことに着目すればおもしろい図鑑ができるのか考えながら独自の視点でつくっていきます。植物を知識だけで理解するのではなく、場所、触り心地、匂い、色、水分量など観察を通してその植物を定義するという、新しい図鑑づくり。身近にあるものでも、そうやって別の角度から見ると新たな発見が生まれるということを学びました。
参考:https://naname.school/report/v2/syokubutsu-zukan/

授業の先にある、見えない成果のために

授業後の子供たちはさぞ満足しているのでは、と土肥さんに尋ねるとこんな返事がきました。「僕たちとしては、楽しかった、完成させることができた、といった成功体験は必ずしも重要ではないと思っていて。むしろ、もっとこうしたかった、こんな世界があるんだという気持ちのほうが子供たちの今後に活きるのではと思っています。このプロジェクトは成果が見えづらいですから」。現在、2021年の夏頃開催予定の連続ワークショップに向けて準備中。参加費は通常1回1,000〜2,000円程度で、千葉市を中心としていますが、全国からでも参加可能。新着情報やこれまでの授業のレポートはHPからご覧ください。

●ななめな学校
https://naname.school

一覧に戻る

TOP

住所
〒260-0031 千葉市中央区新千葉1-1-1 ペリエ千葉2F-3F
営業時間
10:00~22:00 日・祝10:00~21:00
※一部店舗により異なります