「発見!千葉編集部」

猛暑を吹き飛ばす! 伝統工芸「房州うちわ」体験

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幼い頃、寝るまで母親が扇ぎ続けてくれていたうちわの心地良い風。お祭りに出かける時、浴衣の帯に差すためだけに買った可愛いうちわ。縁側で気持ちよさそうにうちわを扇ぐ祖父の姿とセミの声―――うちわは夏の風物詩であり、懐かしい思い出を蘇らせるノスタルジックな存在でもあります。実は千葉県、うちわの名産地だということをご存知でしたか? 南房総市や館山市で作られる伝統工芸品「房州うちわ」は、香川、京都と並ぶ「日本三大うちわ」として知られています。実際に触れてみるとその手仕事の温もり、竹の繊細さ、そして柄の可愛いさにすっかり夢中に。今回はうちわづくり体験ができる南房総市の「うやま工房」を訪ね、うちわのあれこれを学んできました。

可愛くて機能的、つい目移りしてしまう

千葉の伝統工芸品に認定されている「房州うちわ」。特徴は、作る際の工程の多さと、繊細な竹の骨組み。基本の形は、写真にもある一般的な「丸型」、卵のような滑らかな曲線の「卵型」、柄が長くコンパクトな頭が可愛らしい「柄長」、直径約30cmにもなる大きな「大型」の4種類です。和紙やしぼり、布などを貼り付け、絵柄の自由度の高さもポイント。関東では江戸時代にうちわづくりが始まり、当時房州はうちわの原料となる竹の産地でした。大正12年の関東大震災で江戸のうちわ問屋の大半が焼失してしまったことにより、問屋が房州の船形町(現在の館山市船形)に移住。そこで生産を始めたことがきっかけで日本の大きな産地と成長していったのです。

完全手作業にこだわる「うやま工房」を訪ねる

扇風機やエアコンなどの家電の出現により、うちわの出番が減ってきているのが実状。それに伴い職人さんも激減してしまいました。それでもこの地の伝統を残したいと、技術を受け継ぐ職人さんが千葉にもまだいらっしゃいます。中でもすべての工程を手作業にこだわる注目の作り手が「うやま工房」。房州うちわの工房としては一番若いのですが、強い信念を持って伝統を守っています。「数をこなすだけになると良いものはできない。手仕事なので心を込めて一本一本作りたいんです。儲からなくても伝統工芸を伝えていくことが大事」。そう語るのは2代目の宇山まゆみさん。生産量に限りがあり、直販と道の駅でしか購入できないちょっぴりレアなうちわとなっています。

しなりが良く、うちわに最適な房総の竹

「使ってみるとよくわかると思いますよ、房州の竹は“しなり”がとても良いんです」。そう言って制作途中の骨組みだけの竹を見せてくれた宇山さん。写真の手元をよく見ると、骨の1本をぐにゃりと折り曲げているのがわかります。こうしても折れることなく元どおりになるのが房州の竹の魅力。この“しなり”こそが良い風を送る源で、まさにうちわに最適な原料なのです。原竹を伐採するのは11月か12月、ちょうど水分が抜けて程よい油を含む時期。節が長く、細く、まっすぐなものを藪の中から探して切り出すのは大変な作業ですが、宇山さんは自ら竹藪に入って竹の選別、竹切りを行っているそう。昔は分業制でしたが職人さんのいない今はすべての工程をひとりで行っています。

本当は21工程もある! うちわづくり体験

竹の選別から入れると全21もの工程がある房州うちわ。切った竹の皮を剥き、持ち手になる柄を残して48〜64等分に割いていきます(写真上から2番目)。そこからさらに多くの工程を経ていくわけですが「うやま工房」では製作工程後半の「貼り」、「断裁」、「へり付」、「仕上げ」を体験することが可能です。写真は「貼り」の真っ最中。たくさん用意された布や和紙の中から好きな柄を選んだ後に、骨にノリで貼り付けていきます。骨を均等にセッティングするのは意外と簡単。ただし、その前までの工程を職人の宇山さんが完璧に仕上げてくれているからこそ、私たちの体験作業がスムーズにいくということを忘れてはいけません。

世界にひとつの“マイうちわ”が完成!

製作すること約30分。世界にひとつ、オリジナルの“マイうちわ”が完成しました! スッキリと見える卵型うちわに、紫の麻の葉模様の布を貼り付けました。グレーの「へり」を用いてシックな印象に仕上げています。大した作業はしていないけれど、自分の気に入った絵柄をセレクトし、それに合う「へり」を選んだだけで特別感たっぷりです。扇ぐと房州の竹のしなりが感じられ、優しい風が送られて来て、爽やかな気分に。「うやま工房」では和紙や布を持ち込むこともOK。さらに自分だけのオリジナルうちわを作ることもできます。ただし、ポリエステルなど化学繊維の布は貼り付きにくいとのことなので、心配な場合は事前に確認の連絡をしてみてください。

伝統工芸「房州うちわ」×伝統工芸「伊勢型紙」

工房では体験の他、大小様々なうちわを購入することができます。ざっと見ただけでも200種類以上はあるうちわの中でひときわ異彩を放っていたのが、こちらの伊勢型紙を使用したうちわ。伊勢型紙とは着物などの生地を染色する際に用いられる型紙のことで、彫刻刀で手作業で作られる細かい図柄はまさに職人技。型紙は生地を染めた後には不要となるため、宇山さんが引き取り、こうしてうちわに貼り付けてアップサイクルしているのです。切り取る場所で絵柄が変わるため、ひとつひとつのデザインが微妙に異なります。伊勢型紙は黒や茶色が多く、どこかキリッと引き締まった印象。日本の2つの伝統工芸が組み合わさるとその趣や価値がぐんと上がるように感じられます。

●うやま工房
住所:千葉県南房総市本織2040
電話番号:0470-36-2130
うちわづくり体験料金:2,000〜3,000円

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