「発見!千葉編集部」

1930年から続く家族経営のワイナリー「斉藤ぶどう園」

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千葉県内には日本酒の酒蔵が点在し、全国的に有名な銘柄も少なくありません。(詳しくはバックナンバー「千葉県特産の日本酒を知る、味わう、楽しむ」をチェック!)しかし、こんなにも広大な土地があり、気候も悪くないのに、そういえばワイナリーの話をあまり聞いたことながなかったかも……そう思って調べてみると、戦前から続くという伝説のワイナリーが千葉県山武郡にあることがわかりました。「齊藤ぶどう園」は1930年に創業し、1938年より酒造りを始めた、ファミリー経営のぶどう園兼ワイナリーです。オーナーは2代目の齊藤貞夫さん。御年83歳、今も自身の作ったワインを毎晩飲んでいるそう。農園を訪れ、お孫さんで4代目である齊藤雅子さんにお話をうかがいました。

戦前、戦後を生き抜いた「斎藤ぶどう農園」の歴史

この土地は先代が松林を開拓して作った畑で、当時はぶどう、いちご、なしなどが栽培されていたそうです。1938年に酒類製造免許を取得し、ぶどう酒造りを始めました。「戦前、近くの飛行場に山梨出身の軍の方がいらっしゃって、近隣住民にぶどうの栽培方法を指導したんだそうです。数十軒あったぶどう農家さんが収穫と同時に各自できたぶどうを持ち寄り、ここでお酒造りをしていたんですよ」。戦時中になると、齊藤ぶどう園も軍の管理下に置かれました。しかしこれは貯蔵用の木樽につく「酒石酸」が潜水艦のレーダーの原料になる、と国が推奨していたからなのです。ワイン造りのために国から配給される砂糖を「目を盗んで舐めていた」と貞夫さんはいたずら顔で教えてくれました。

昔ながらの蔵、機械、手法をそのまま受け継いで

齊藤ぶどう園で受け継がれているワイン造りの流れを教えていただきました。「8月中旬に家族全員でぶどうの収穫をします。先代から使っている日本酒の酒母をつくる琺瑯(ほうろう)のタンクで発酵させ、柔らかくなったらバスケットプレス(写真前項)に移し、手動で絞ります。うちには15度から17度くらいの冷たい湧き水が湧いているので、この果汁を冷やしていきます。さらにこれを夏でも涼しい地下室のタンクへ送り、さらなる発酵を待って、11月の末に新酒発売という流れです」。拝見させていただいた地下室には、今まさに発酵まっただ中のぶどう酒のタンクが並びます。果実の爽やかさと酸味の混じった香りが室内いっぱいに広がっていました。

ガチョウが走り回る畑でつくられる自然派ワイン

農園に到着するとまず目につくのが、緑豊かなぶどう畑を我が物顔で歩くガチョウやアヒル、鶏たちでした。「除草剤を撒くと土が固くなってしまうので、雑草を食べてくれる動物たちを放し飼いにしています。おかげで春や秋にはほとんど草刈りをしなくて済むんですよ」。そんなナチュラルな環境の中で、さらに、できる限り化学農薬は使わず、亜硫酸無添加の“自然派”ワインを製造しているそう。「もともとワイナリーとして始まったわけではなく、町の寄り合いやお歳暮、消防の集まりのときに振舞っていたぶどう酒。だから昔から添加物を入れる必要がなかったんです。そういった中で育ってきたので私も自然派ワインが好きですし、この手法は守り続けていきたいと思っています」。

伝統は守りながらも、いいものは取り入れる

オーナーの貞夫さんは毎日自分の作ったワインで晩酌をするのが大好きなのだそう。きんぴらごぼうなど日本の家庭料理に合わせて、コップで飲むのが貞夫さん流です。一方、歴史あるワイナリーの伝統は守りながらも、HP作成や卸先とのやりとり、イベントへの参加など、次の世代の後継者として奔走する孫の雅子さん。「仕事としてワイン造りに向き合うようになったのは2014年の夏、25歳になってからです。山梨に3年間通い、ワイン造りを学ぶことから始めました。祖父のやり方は昔ながらで、勉強になる部分はもちろんたくさんあります。しかし時代に合わせて料理の味が変わったり、ワイン造りも進化するので意見を交換し合いながらよりいいものを造れるよう頑張っています」。

“晩酌用”の軽快な口当たりと果実味を楽しんで

齊藤ぶどう園では「マスカットベーリーA」「デラウェア」「満州やまぶどう」「ヤマ・ソービニオン」をはじめ約7種のぶどう品種を栽培しています。ワイン用の品種だけでなく生食用の品種をワインに使用しているのも特徴。写真左は一押しの「マスカットベーリーA」。ベリー系の果実味と優しい酸味が特徴で、野菜料理や青菜との相性がいいワインです。写真右の「やまぶどう」は、フレッシュな果実が香り、柔らかくて軽い飲み味なので、ゆるゆる毎日晩酌できそう。ぜひお肉料理に合わせてみてください。「今後は、千葉の気候に合うワイン用の品種を育てることができたらいいなと思っています」と、チャレンジ精神旺盛な雅子さん。今後も齊藤ぶどう園のワインに注目していきたいです。

毎年約5000本のみの少量生産。いつ、どこで飲める?

家族経営で、年に1回のみ新酒を販売という少量生産のため、手に入りにくいという声もある齊藤ぶどう園のワイン。発売時期の11月末には農園での直売を行っており、この時簡単なワイナリー見学も可能とのことなので、ぜひ足を運んでみてください。また卸先については「IMADEYA」をはじめ全国一部店舗にてお取り扱いがあります。詳しくは齊藤ぶどう園のHP(http://www.saito-winery.com)にてご確認ください。さらに10月14日(日)にペリエ千葉で行われるIMADEYA主催の「Fill the Goblet」(http://www.imadeya.co.jp/news)に出展予定。こちらは事前予約・会費制で、全国で話題の有名レストランと酒蔵やビール工房などが集結し、“美食&美酒”が楽しめる贅沢なイベントです。ぜひ足を運んでみてください。

photo:PAK OK SUN

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